― 先生はお忙しい臨床の合間を、大変精力的に講演活動をなさっておられるわけですが、今回2度目の来日ということで、日本のカイロプラクターも先生の講義を楽しみにしておりました。世界各国から講演依頼が殺到して、応じ切れない状態のようですね。講演の途中でお疲れのところを恐縮ですが、日本の腰痛患者へのアドバイスをお願いしたいと思います。 まず、はじめに今回のような臨床家向けのセミナーではなくて、一般社会人に対してセミナーを行うことがありますか? Dr・コックス ドクターへの研修セミナーはアメリカやヨーロッパを中心に行っていますが、一般人に対しては、私のクリニックで患者教育のためのセミナーをやるくらいですね。 ― どのくらいの人数に、どの程度の回数で行うのでしょうか?患者教育ということですが、具体的にはどんな効果をねらっているのですか? Dr・コックス 1週間に3回の割合で開催していますが、人数は8〜10名の患者さんに、その家族を加えた人数です。特に、患者の家族を加えるというこ とを重要視しています。 なぜかと言うと、腰痛を治すにはドクターの力量が50%、後の50%は家庭での管理にかかっているからです。家族が患者の病状を理解し、協力することが腰痛を治す早道なのです。 ― ホームケアの問題について、具体的にどんなアドバイスをなさっているのでしょうか。 Dr・コックス 具体的には私の著書に書いてありますが、私のクリニックでは腰痛に15の診断名を持っています。それぞれの病状を詳しく書いた資料を15種類用意していて、該当する資料を患者さんに持って帰らせます。つまり家庭学習で理解させるのです。 次にその患者さんが来院した時に、患者さんがどのくらい病状を理解したか、私の方から患者さんに質問しています。「あなたの腰に何が起こっているのか?」って。 ― 患者やその家族と一緒になって治療にあたっているのですね。家庭での運動についても指示されるのでしょうか? Dr・コックス 家庭での体操の仕方は、やはりそれぞれの病状に合わせたフォームを12種指導しています。例えば「すべり症」に対しては、伸展運動をしないように、必要な運動メニューのビデオテープを渡して、確実な体操療法を教育しています。人間の身体は、関節や筋肉の柔軟性と強さを、同時に持っていなければなりません。それが基本です。ところが、腰痛になると、大変弱くなってくる。健康的な身体はフレキシブルで強いんです。その良い状態をつくるには、正確な体操の指導は重要な治療の一環なのです。 栄養問題についても話をします。関節炎は栄養療法によって効果をあげることができますから、私のクリニックでは、ひとつのタブレットの中に、五つのミネラルが入ったものを渡しています。 ― 椎間板ヘルニアや坐骨神経痛を伴う重い症状の患者さんには、具体的にどんなアドバイスをしておりますか? Dr・コックス 坐骨神経痛の人には、座らないように、椎間板への圧力を少なくする姿勢をとるように指導します。椎間板の損傷には、約3ヶ月が必要であることを言います。それが完治する前に仕事に行かせますと、また再発して最悪の事態を招くことになります。 家庭では、エクササイズシステム、温めるか冷すかの方法、硬めの布団に寝て、柔らかいイスを避け、急性の場合は腰痛ベルトを着用させるでしょう。私のクリニックには、エクササイズマシーンがあって、腹筋と背筋を鍛える運動もしてもらっています。最終的には家族全員に患者の病状を理解させ、手助けさせることを目的にしています。 ― 腰痛予防の観点からのアドバイスをお願いします。 Dr・コックス 物を持つときの姿勢、仕事をする動作をさせ、その動作が正 しいかをシュミレーションしながらアドバイスをしています。 ― 生活用具については何か見解をお持ちでしょうか? Dr・コックス 腰痛の保護にはバックハガーを、イスも人間工学的工夫のデザインのものを選ぶべきでしょう。私のクリニックでは、足関節にも特に注意を払っていて、足のサポートをすることを薦めています。治療後に、そういったグッズを使用することにより、20%の治療効果をあげることができると考えています。 ― 他の医療分野と比較してみて、カイロプラクティックの立場からの独自のアドバイスはありますか? Dr・コックス 実際問題、病院その他でも物療を担当する人によって、こういったアドバイスはされているでしょう。しかし、カイロプラクティックがその分野と決定的に違うのは、カイロ治療の延長線上に一貫したエクササイズと して用いられるということです。 ― 日本では腰痛患者が増加しており、年齢層も若年化現象がみられますが、アメリカではどうですか? Dr・コックス アメリカでもまるで伝染病みたいに増えており、腰痛は重要な問題です。心臓病を治すより、腰痛を治すほうが難しいでしょう。腰痛にかかる医療費も膨大な数字にのぼり、世界中でも大変重要な問題になっています。アメリカでは腰痛になったら、85%の患者が医師のところに行き、その後3分の1がカイロプラクターのところにやってくるのが実情です。 ― なぜ現代人に、そんなに腰痛が増えてきているのでしょうか?もし原因があるとしたら何でしょうか? Dr・コックス 最終的には答えを出すのは難しいでしょう。でも、要因をあげるとしたら三つあります。一つは、家族から受け継いだ遺伝的なもの。二つめは、運動しなくなり生活習慣も悪化し、筋力の低下を来していること。多くは物を持ち上げることが引きがねになっているのでしょう。三つめは、栄養学的な問題があるでしょう。食生活と生活習慣の変化が大きなかかわりになっていると思います。 また、直接的な要因とは言えないことですが、現代の先鋭化された人工社会や複雑な人間関係などから発生するストレス、蓄積された疲労も、大きな背景と言えるでしょう。 ― 最後に、将来のカイロプラクティックの社会的な貢献についてお聞かせ下 さい。 Dr・コックス 10年前から比べると、カイロプラクティックはアメリカでも世間に知られるようになってきました。以前は、カイロプラクターも外科医に学んだものですが、最近では、逆に外科医の方がカイロプラクティックは何をやっているか興味をもっています。医師から紹介されてくる患者も多くな り、訴訟問題で裁判所から意見を求められることもよくあります。それだけ、カイロプラクティックの社会的地位と信頼が得られている証拠でしょう。20世紀末には、腰痛患者の半数がカイロプラクティック治療の恩恵を受ける時代になるでしょう。 |
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James M.Cox D.C. Dr・ジェームズ・M・コックス 1949年9月11日、インディアナ州に生まれる。1962年結婚。4人の子供の父。1963年ナショナル・カイロプラクティック大学を卒業。同大学の卒後教育講師。腰痛治療に牽引を利用したテーブル(ベッド)を考案開発して、一躍有名となる。インディアナ州で開業の傍ら米国内はもとより海外で講演。その間に各種役職を歴任。著作・著書も多く、特に『LOW BACK PAIN』(日本語版『腰痛の診断と治療』エンタプライズ刊)はベストセラーとなり現代も版を重ねている。 |
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背骨の話。 カイロ創世/D・D・パーマー 欧米発。カイロプラクティック新事情。 身体という宇宙。 @ THE BODY AS COSMOS 身体という宇宙。A WHAT'S CHIROPRACTIC?カイロプラクティックってなんだ。 インタビュー 腰痛はまるで伝染病のように増えている。Dr・コックス バックボーンライフに迫る。 カイロ的生活のすすめ。 |
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