足部に機能的トラブルや器質的問題があると、バイオメカニカル的なストレス連鎖の結果、骨盤から脊椎、そして頭部へと好ましくない影響を及ぼします。
臨床では、頭蓋部・顔面頭蓋部・頚椎に焦点を当てる一方、頭蓋骨へ悪い影響を与えた因子についても同時に検査し治療するように心がけています。 ここではカイロプラクティックの立場から、顎関節症について記述します。Casey MGusey(アメリカの物理学者)は、口を開けたり閉じたりする下顎の運動を物理的に解析しました。その結果、下顎運動の中心は第二頚椎歯突起にあるのが正常だと1945年発表しました。カイロプラクティックで頚椎を調整することにより、噛み合わせがスムーズになるのもこのような理由によるものです。勿論、頚椎だけで顎関節症のトラブル全てが解決するわけではありません。次に、 頭蓋部・顔面頭蓋部へのアプローチをご紹介します。 口腔内の異常(虫歯、歯の欠損、補綴治療のミス、早期接触など)が主な原因となって、無意識に片側の歯で噛んでしまう癖のある人は、噛み癖側に、下顎骨は引っ張られ(下顎頭が、上方・外方・後方に偏位)、上顎骨や蝶形骨など上歯側の顔面骨も僅かに偏ってきます。このような問題は顎関節症の発症の一因となります。 噛み合わせの異常は、頭痛や肩凝り、耳鳴り、自律神経の失調など様々な臨床症状を引き起こします。症状の原因が顎関節症からであった場合、まさか自分の症状が顎からだとは、考えもしないですから、気の毒なことに、あちこちの病院で原因を調べてもらうことになります。 当院では、口腔内の歯の問題については、顎関節症に詳しい歯医者さんをご紹介しています。カイロプラクティックによるアプローチでは、顎関節症により影響を受けた四肢や脊柱など、他の部位に問題があるかどうかを調べて治療していきます。 写真は、噛み癖側の咬合圧により上方に偏位した上顎骨と、上方、後外側に偏位した右の下顎頭を、蝶形骨を固定しながら軽く矯正方向に押圧しているところです。 * 上の写真でモデル着用のレオタードは、治療プロセス及び身体の動き等を分かりやすく見せるためであり、実際の治療で着用することはありません。当院では、多くのカイロ専門のオフィス同様、患者さん用のガウン(後開き)に着替えていただきます。着衣の上からでは、正確な背骨・骨盤の検査及び治療が困難となります。
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