牛乳(3)加工乳と乳飲料/京都南カイロプラクティック研究所 |
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最近はFacebookなどのSNSが普及したおかげで、「牛乳はからだに悪い」といった投稿を多くみられるようになりました。私は牛乳を飲まなくなって25年ほど経ちますが、止めた当時の「牛乳神話」を振り返ると、昨今、牛乳の弊害が一般の方にまで広く浸透していることに驚いています。治療家としては、どうして牛乳は体によくないのかを説明する手間が省けて助かっていますが、まだまだご存知のない、患者さん以外の一般の方に対しては、牛乳の弊害について分かりやすく書かれた、杏林予防医学研究所発行の「予防ニュース」からご紹介することにします。
北海道の牛乳にもダイオキシン 2〜3月号と牛乳について批判的に展開して、ご質問のお電話を十本ほどいただきました。日本人の体質に牛乳が合わないということに加えて、生産者の牛そのものが病的であり、分泌物の牛乳に抗生物質やホルモン剤などの汚染物質が濃縮されているという問題があります。 しかし、東京など大都市近郊の牛乳ならともかく、豊かな自然に育まれた北海道の牛乳なら問題ないのではないかと思えますが、4月10日に発売されたフライデー誌にはそんな考えを覆す記事が掲載されました。帯広畜産大学の調査によると、北海道道東地区のゴミ焼却場から5km以内の牧場で飼われている乳牛の出す牛乳には、1g中0.2ピコグラム(一兆分の1g)のダイオキシンが検出されたのです。 イメージしにくい数字かもしれませんが、具体的にはこういうことです。日本の厚生省は、ダイオキシンの許容摂取基準として1日に体重1kgあたり10ピコグラムに設定しています。1g当たり、ダイオキシンが0.2ピコグラム含まれた牛乳を500ml飲むと、体重50kgの人の場合、許容摂取基準の20%を摂取したことになります。 この記事に、帯広市出身の筆者は大変なショックを受けました。しかし、調査した帯広畜産大学の中野教授は「北海道から九州までの牛乳を調べましたが、北海道の牛乳はダイオキシンに関しては最もきれい。大都市に近い牛乳はどんなにひどい状況か。」と、コメントしているのです。 ダイオキシンは母乳に濃縮されるから母乳で育てた幼児にアトピーが発症しやすいといわれますが、健康な食事を続ける母親の母乳であれば、粉ミルクよりもはるかに優るのです。 栄養素が破壊されている高温殺菌牛乳 きれいな環境で育てられた健康な牛から生産された牛乳であれば、牛乳は「自然食品」であるということができます。島根県の木次町ではブラウンスイスという牛をスイスから輸入して健康的な環境で育て、「パスチャライズド法」という63℃で30分殺菌する低温長時間法により牛乳を生産しています。市販の牛乳は、高温殺菌の過程によりビタミンや乳酸菌が破壊されているのですが、低温殺菌の牛乳にはそれらの栄養素が保たれています。木次町で生産されるパスチャライズド牛乳は、健康食品店で買い求めることができます。しかしながら大量生産に向かず、一般のスーパーで売られている牛乳のほとんどは、大手食品会社や生協から出されている高温殺菌された牛乳です。 日本で飲用されている高温殺菌牛乳は、欧米ではスープやお菓子作りに用いられています。そして一般的には、パスチャライズド法で作られた牛乳が飲用されています。 人は消化されたもので生きる 汚染が少なく、栄養素に富み、安全な方法で生産された食品は、よい食品であるということができます。ここで信頼できる本から、牛乳によるメリットを上げましょう。栄養ジャーナリストのジーン・カバーが著わした「食べるクスリ(飛鳥新社刊)」には次のように牛乳の効用を上げています。
しかしながら、「考えられる副作用」として、次のことが上げられます。 人によって乳糖不耐症のためにミルクを飲むと胃が痛くなる 感性性大腸症候群の原因になりうる 全乳を多量にとると、血中コレステロール値を上昇させる 高脂肪のチーズやミルクを多量に摂り続けると、乳ガンのリスクが高まる 男性で週に約2.65リットル以上のミルクを飲んでいる人は、わずかに結腸ガンのリスクが高くなる 膨大な「人間喜劇」を著わした文豪のアレクサンドル・デュマは「人は食べ物で生きるのではない。消化されたもので生きるんだ」といいました。牛乳の効用のほとんどはカルシウムとタンパク質によるものですが、それが利用されなければすべて逆の目が出てしまいます。タロット占いでは、正位置であれば「豊かさ」とか、「誠実」などの意味を持つカードも、それが逆さまにめくられると「貧困」や「裏切り」など反対の意味を持ちます。 つまり、汚染の無い牛乳は白色人種にはよい食品であっても、乳糖不耐の人種には適しません。健康な何の問題も無い人がパスチャライズド牛乳を飲む場合でも、消化するように意識を持ちながらゆっくりと食べるべきなのです。 牛乳は不眠にいい? 古くから牛乳の効能の一つとして「不眠を防ぐ」といわれてきました。それは牛乳に含まれる必須アミノ酸のトリプルファンがセロトニンになり、脳に鎮静効果をもたらすことがあります。 先日ある番組で、鎮静作用のある神経伝達物質のセロトニンの減少することが、「キレる」子供を増やしていると説明していました。セロトニンの材料にトリプトファン、セロトニンの合成にビタミンB6、またセロトニンの分泌にカルシウムが必要であり、それらの栄養素を十分に含む牛乳を飲むことを勧めていました。 しかし「食べるクスリ」には“不眠のミルクの誤り”とあり、牛乳の鎮静作用が反証されています。「ミルクにはトリプトファンが入っているけれども、他のもっと多く含まれているアミノ酸が押し退けて入って来るので、ミルクを飲んだ後の脳内のトリプロファンは逆に減少する」ことが、マサチューセッツ工科大学の研究で確かめられているとのことです。 そして、牛乳は気持ちを落ち着かせるのではなく「精神的エネルギーを高める」と書かれています。牛乳に含まれるチロシンが覚醒に作用する神経伝達物質ドーパミンとノルアドレナリンの産生を高めることが、その理由として書かれています。牛乳は「落ち着き」ではなく、「興奮」を誘う食品であるかもしれません。しかしながら、脂肪の多く含まれた牛乳では、精神の鋭敏さを奪ってしまうとのことです。 もし牛乳に含まれている成分の恩恵を受けたいのなら、スキムミルク(脱脂粉乳)が適しています。チンゲンサイ、ブロッコリー、かぼちゃなどを水に溶いたスキムミルクで炊くなど、料理に利用するといいでしょう。にんじんやほうれん草、ピーマンのようなアクの強い野菜も食べやすくなります。(しかし、アレルギー体質の人には勧められません) 単一の食品に依存する危険
またその番組では、出演者の一人が「そうですか、牛乳を一に1リットル飲んだらいいんですね」と言いました。このように、単一の食品を栄養素の摂取源とする考えには大変な危険が伴います。 牛乳1リットルを飲むと、1,000rのカルシウムがとれるのですが、マグネシウムは100rしかとれず、その弊害は2〜3月号に書いた通りです。また付加価値を付けたり、美味しくしたりすることを目的に作られた加工乳や乳飲料はそのバランスを一層悪いものにしています。 数年前から発売されている雪印の「骨太牛乳」には、300ml当たり650rと、通常の牛乳の2倍の量のカルシウムが含まれています。森永乳業は「普通の牛乳は大手の乳製品メーカー、農協、地方の乳牛メーカーがひしめき、競争が激しくてもうからない。高付加価値製品を伸ばすことが収益アップにつながる」とコメントしています。このような商業主義的な牛乳の健康飲料化、または嗜好品化が、甚だしい栄養アンバランスを招いているのです。 乳飲料の問題点
加工乳には、乳成分を増強した「濃厚牛乳」、成分調整した「低脂肪牛乳」、乳糖を処理した「乳糖加水分解乳」、ビタミンDや鉄を加えた「強化牛乳」などがあります。 乳飲料に至っては、「コーヒー飲料」「ココア飲料」「乳酸菌飲料」など、各メーカーから多種類の商品が出されています。そして、カルシウムが十分にとれる、お腹にいいビフィズス菌を含む、ビタミンCや鉄を補強しているなど、機能性をうたった宣伝がされています。 しかし「添加」されているビタミンとミネラルは合成か、生体利用性の低いものと考えられます。例に上げたミロには牛乳に含まれるカゼイン・カルシウムだけではなく、炭酸カルシウムを追加して、カルシウムの含有量を増やしています。 問題点としては、やはりカルシウムだけが重視されているということです。また砂糖が多く含まれています。乳酸菌飲料も、ヨーグルトを8倍以上に薄めているため乳酸菌の効果がそんなに期待できず、また多量の砂糖や酸味、香料などで味付けされています。いろいろいいことが書かれていても、コーラなど清涼飲料よりもましで、水には劣るといったところでしょうか。 Back | Nutrition Index | Top |
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