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この人に聞く / 細胞レベルからの原因究明を加味して高い治療効果
京都伏見区の近鉄・地下鉄竹田駅前にある「京都南カイロプラクティック研究所では、故障箇所の的確な発見と施術に加え、アメリカの分子栄養学的な見地からさらに病気の根本原因を追求することによって従来の療法をはるかに越える実績をあげ、幼児からお年寄りまで、遠距離からの来院者が絶えることがない。
荒川善治所長は、毛髪の微量元素測定結果から栄養素の過不足や有害物質の蓄積度を測ることで病気の原因を究明。そんな手法に関心を示さない在来療法との差を際立たせている。訪れた女優の藤田美保子さんも強い期待を寄せてお話しを伺った。 藤田 こちらの開業はいつでしたか? 荒川 昭和63年の3月です。それ以前は病院のリハビリテーション科に約一年いました。 藤田 この道に進まれたきっかけは? 荒川 親が頻繁にギックリ腰を起こしてたので、その度に私が介助するようなことをしていました。そして通院に付き添ううちにだんだん興味が出てきたのです。最初は鍼灸の学校に通いました。鍼灸の理論は大変奥が深く、すばらしいものでした。しかし、体が歪んでいる患者さんに対しては、違った視点でつまりバイオメカニクス、生体力学的な立場より施術にあたりたいと思うようになってきました。そして、日本で生体力学理論を中心に、アメリカのカイロプラクティック大学では主に解剖学を学びました。 藤田 その興味というのはどういうところに持たれたのですか? 荒川 レントゲンを撮っても異常がないのに痛い。母を診た担当医は具体的な治療をされずに、とりあえず湿布ばかりされていました。(笑い)どこの病院へ行っても、骨には異常はありませんの繰り返しで、治療は電気をあてるのと湿布だけでした。これはおかしいなと。そして、整骨の先生の所などを見学しているうちに私もやってみたいと思ったのです。 藤田 なるほど。患者さんは近辺の方が多いのですか? 荒川 いいえ。カウンセリングに始まり、神経学検査、整形学検査、筋力テスト、そして治療の流れのなかで模型やイラストを利用して、できるだけ分かりやすく状態を説明しています。これが好評なのか大阪や奈良など遠方の方が多くなってきました。専門雑誌に指定治療院として度々掲載された関係で紹介も多かったです。 藤田 治療の手順としては? 荒川 幾つかの考えられる原因部位を順番に診ていくのです。例えば、鎖骨と第一肋骨の間が狭くなると静脈の流れが悪くなって、朝起きると手がむくんだり肩が凝ったり首が張ったりします。それに対して頚が悪いからといってボキボキしても何にもなりません。鎖骨と第一肋骨の可動性と位置を改善することにより、わずかに狭窄した部位にスペースを作ります。どこに原因があるかを診ていくのは当たり前のようですが、その当たり前のことをなかなかしてもらえないようです。 藤田 はっきりした病名ではありませんからねえ。 荒川 整形学検査や神経学検査をきちんとすれば、先の例でも頚椎からの原因の可能性は少ないと容易に判断がつくのですが。 藤田 私は膝の具合がちょっと悪いのですが・・・。 荒川 膝ですと、足から骨盤までを中心に診ていきますが、それ以外の部位も重要です。 藤田 その時、患者は膝さえ良くなったら、他の箇所に問題があってももう治療に来ませんね。先生がもし他の故障を見つけられて診てくださったら、予防医学にもなりますね。 荒川 まったくそのとおりで、カイロプラクティックの考え方は予防医学に通じるものがあります。毎日の生活の中で片寄った習慣的な姿勢によって痛みが現れるようになります。それがどのようなメカニズムにより症状が出るか、患者さんに説明して理解していただければ予防することができます。また再発も防げる訳です。日々の姿勢はたいへん大事なのです。例えば立っている時に、いつも片方の足に体重がかかっていたりすると、荷重側の腸骨(骨盤の一部)が後方に回転していきます。これは、生体力学の成書にきちんと書いてあります。このような状態が、日常知らず知らず繰り返されると、仙腸関節を中心とした部位に痛みが生じてくるわけです。先程の例では、座っても立っても肩が前に入る姿勢を続けていると、大胸筋が収縮してきて鎖骨が下方へ引っ張られて、先程お話ししたように静動脈、神経の通過する部位の狭窄する可能性が生じてきます。 藤田 そうすると肩凝りで痛みや、手に力が入らなくなったりするのですね。 荒川 これは膝の関節炎の資料ですが差し上げます。 藤田 「関節炎を毛髪分析で判断する」・・・? これは一体どういう意味ですか? 荒川 糖尿病や心臓病、心筋梗塞、高血圧なと、つい最近まで発展途上国にはない病気でした。現在は西洋的な食文化に移行しつつあるので、先進国と同じような病気が増えてきているそうです。成人病の多くは食源病による代謝異常と考えることができます。それで、生体力学的なアプローチで治療にあたる一方、毛髪分析を米国ドクターズデーター社に依頼して、どのようなミネラルが足りないか、加えて有害ミネラルの危険度を調べます。カルシウムの摂取が少なかったり、吸収に必要な栄養素が不足すると、骨からカルシウムが出てきます。抜け出たカルシウムは結晶になって関節、組織に沈着することがあります。このような原因による関節炎は栄養面からの指導が当然必要になります。 藤田 それで先生は栄養学の書物もお持ちなんですね。 荒川 ある方の測定結果ですが、これが基準値で、実際はこうなっています。 (注:米国のドクターズデーター社が行う毛髪の微量元素定量分析レポートを指し) 藤田 まあ、足りない栄養素が何種類もありますね。 荒川 この患者さんの分析レポートは、吸収不全症候群と呼ばれる状態を示していて、栄養の消化吸収になんらかの問題があって、さまざまな栄養素の欠乏症状が起こっている可能性が示唆されます。 藤田 この方は水銀のところが「とても危険」となってますね。 荒川 工場から河川に排出されるメチル水銀、フェニール水銀系農薬、産業廃棄物などによって、土壌と水、また魚や貝類、野菜、穀物などが広く汚染されています。私たちは、いろいろな化学物質に囲まれて生活しています。それは髪の毛に一番高濃度にでるのです。アメリカの予防医学の考え方では、早期発見では遅いとしていて、こういう分析にも力をいれています。 藤田 日本は残念なことですね。 荒川 私もそう思います。アメリカ政府は、一九九七年に有名なマクガバン報告を発表しました。これまでの医学は栄養素に対しては片目の医学であった、病気の多くは食源病によるものだと断じたのです。このような理論が私のバックボーンにあるので、治療に実践しているわけです。 藤田 先生は貴重な存在ですね(笑) 荒川 NHKでも放映されましたが、戦後の食糧難の時代よりも現代の方が栄養不足だといわれます。化学肥料や農薬をたくさん使うので、野菜でも昔の数分の一しか栄養がないというのです。 藤田 確かに。ビタミンAがたりなかったらピーマンかホウレンソウを食べていたらいいとか言われたけど、最近のはどうもそうじゃないらしいですね。 荒川 肉離れなどもマグネシウム不足によりナトリウムポンプが正常に機能しないことで起こることも多いのです。私どもがバイオメカニクスに基づくアプローチに、細胞レベルでの考察を加えるのはそのような理由があるからです。 藤田 どうぞ、これからも良い治療を。
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京都南カイロプラクティック研究所発行「カイロフォーラム」(季刊)より転載
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