私が頚椎を痛めたには12年も前のことでした。当時、中学3年生だった私は、水泳の時間にプールに飛び込み、底に頭から突っ込んでしまいました。時間にしてみれば一瞬の出来事だったのですが、目の前に白い底が迫り、驚いてとっさに両手をついたのですが、とても支えきれず、瞬時に両手をはじかれて、前頭部を打ちました。「しまった、首の骨を折ってしまったのでは……」と思いました。その後、二週間ほど左右に首が曲らず、痛みというよりは、むしろ気持ちの悪さを感じました。
この事故の後、右の首筋が常に緊張しているように思え、肩凝りに悩まされるようになりました。次第に首の不快感も増すようになり、疲労に伴って吐き気をもよおすようになりました。朝起きると首がまがりにくく、とても肩が凝っているのです。いつも、首の骨が油の切れた機械のようにギクシャクした感じで、集中力もなくなり、不快感がいつもつきまとうようになりました。
以来、12年間、ありとあらゆる処置をしてきたつもりでした、大学病院等で精密検査を受けても、異常なしということで放置されました。結局、民間療法に頼り続けることになりました。針灸、電気、牽引、マッサージを繰返したのですが、少しも改善されません。「このまま生涯この症状に悩まされなければならないのか?いや完治しないでも、治せるところまで何とか治しておきたい」と思い、ムチ打症に関する本を探し、片っぱしから読みました。そして、五月書房から出ている「これが、カイロプラクティックだ」という本に出会いました。読んでいて、今までの読んだ本とは違い、なるほどと納得のいく内容ばかりでした。この本との出逢いが、後に自分の運命を変えるきっかけになるとは夢にも思っていませんでした。
この本の巻末から「京都南カイロプラクティック研究所」を知り、カイロの先生の親切な治療を受けることができました。カイロの先生は私の首を中心に身体全体を触診され、いったい頚椎がどんな状態になっているのか、優しく丁寧に教えて下さいました。第二頚椎の動きに制限があり、椎間孔から出ている神経を刺激していたことがわかったのです。この12年間、あらゆる病院等で教えて頂けなかった自分の首の状態を具体的にわかり易く教えて下さったのはカイロプラクティックの先生が初めてでした。私は徹底的にカイロプラクティックに通って、長年のムチ打ち症を完治させたいと思いました。
1週間に2回の治療で、3回目ぐらいから顕著に効果が現われてきました。自分の首が元に戻っていくことが、治療の回数を重ねていく度にに、はっきりと自覚できるのです。カイロプラクティックだからこそ、治ってきているんだという実感を得られるのだと思います。12年間続いた右の首筋の緊張感もほとんど無くなり、肩凝り・吐き気・首のぎくしゃくした感じも無くなってしまいました。8回目の治療の時にカイロの先生が「もうベストに近い状態になっていますよ。」とおっしゃってくれました。ムチ打ち症の克服は無理だろうとあきらめていたのに、1ヶ月間もたたないうちに、ほとんど治ってしまったなんて本当に夢のようです。
12年間悩んできた苦しみが、カイロプラクティックを知った1ヶ月で人生を変えることができたのです。カイロの先生は、首だけでなく、身体全体のバランスが崩れていないかを常に見て下さり、的確な治療をして下さいます。現在では集中力も戻り、生活意欲も大変高まりました。私はムチ打ち症が完治した後も、予防のために、月に一度はカイロプラクティックの治療を受けるつもりです。
先生のコメント:プールの底に追突の瞬間、大きな前方へのトランスレーション(下の椎骨に対して上の椎骨が前方へすべること)が頚椎部に働いたのでしょう。頚椎が回転する際の回転軸が、隣接する椎骨間で差が生じていることを触診で推測できました。首を右に傾けようとしても生体力学的に必要な右方向への回転が生じない為、疼痛が出現したり、ご本人が述べられている通り、頚椎の可動性が制限されている為ギクシャクした感じも当然と考えられます。またこの時、第一頚椎と第ニ頚椎の代償性の回転も見られませんでした。頚椎の問題の多くは他の部位から代償として現れることが多く、スラスト等のアジャストメント(矯正)は普段あまり行いませんが、このケースでは頚椎の状態と受傷時の状態にはっきりと因果関係が認められたので頚椎を中心とした施術を行いました。