忙中有閑|私のカイロ治療体験記|京都の整体「京都南カイロプラクティック研究所」 |
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医療におけるグローバリゼーション 医療におけるグローバリゼーションを考えると、まず頭に浮かぶのが、ノーベル平和賞を受賞した国境なき医師団であろう。適切な医療を受けられることは、人種、宗教、イデオロギーにかかわらず、全ての病人の権利となるべきである。発展途上国においては、紛争による飢餓や貧困などの背景が存在し、また巨大化したNGOとしての新たな問題も抱えるものの、病める多くの人々に一人でも救いの手が伸びることを期待している。 次に、情報入手源のグローバル化、入手情報の適切な評価の必要性を背景に、他国の医療情報との互換性、医療情報の扱い方について共通の基準を設ける必要がでてきた。いわゆる医療の標準化である。国内における標準の作成もグローバル化を睨みながらの作業となる。医薬品の開発・使用もグローバルな EBM(根拠に基づいた医療)の動きの中で進められるようになった現在、日本もこの大きな世界的流れの中への積極的参加が強く望まれる。 このような医療においてのグローバルバリゼーションが進むと、これまで批評や批判にさらされなかった医療に、「透明性」と「説明責任」を求める声は益々大きくなるであろう。 なかでも近年、脚光を浴びているのがEBM(根拠に基づいた医療)である。医療行為には根拠があると一般の方は信じていると思うが、実は必ずしもそうではなかったのだ。 身近には、交通事故で「むち打ち症」になると、病院では、牽引、電気治療などの物理療法、投薬、頚椎カラーなどのお決まりの処置が常である。患者の立場ではこれで快方に向かうとひとまず安心するのである。しかし、学際的で中立的な研究により、これらの病院での治療方法は、ムチウチ症には全く効果がないだけではなく、むしろ症状を悪化するという研究結果が報告されている。全ての人に平等に医療を提供することは大切であるが、その内容が根拠に基づかないものであれば話しはややこしくなる。 イギリスでは、治療効果のないものは省き、効果のあるものを医療に反映させることにより、医療費削減にEBMの考えを活用する概念もつくられている。一方、上下を重んじる日本の社会においては、ある医療行為が根拠に基づいているかどうか、恩師や先輩に批判や批評を行うことは、医療の世界以外でも困難な土壌であると言える。いったい医療は誰の為にあるのだろうか。 アメリカのグローバルスタンダードが必ずしも全てよい訳ではなく、国益を最優先にした外交政策には嫌悪感を持つが、社会の隅々まで権力の抑制と均衡というシステムが整備されている面においては、素直に日本も学ぶべきところである。日本の社会では医療の世界を筆頭にして、透明性や説明責任を重んじないでやってきたこれまでの経緯から脱却し、医療の標準化・EBMという医療のグローバリゼーションへの積極的な姿勢を望んでいる。 《注釈》国際化とグローバル化は意味が少々異なる。国際化とは、ある活動において国家の主導的役割や政策介入があるのに対し、グローバル化は国家の介入や役割は前提としていない。
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